蝋梅書屋
Wintersweet Den

日々思ったこと、作品に触れて考えたこと等の整理・備忘

No.217

2025年7月17日
2023年1月、母子ともに生き延びたのはきっと奇跡だった。そして今がある。
2子がお七夜を迎えた。実母が用意してくれた麻の葉模様の産着を着せて、ささやかに祝った。

●予定帝王切開当日
前日は、なんか気持ちがフワフワして所在なかったな〜くらいしか……。あ、高校時代の友人が電話くれたな……。おかげで、さみしさとほのかな緊張が和らいだ気がする。
当日、予定時刻を過ぎたところでお呼びがかかり、オペ室まで歩いて向かった。1子の時は緊急帝王切開で、流されるままに車椅子で連れて行かれた記憶。謎に陣痛付きでお腹を抱えていた。あれよあれよという間にオペ室に担ぎ込まれ(たぶん個室を出た時点で足を床につけていない)、麻酔を入れられたかと思ったら間髪入れず手術開始といった慌ただしさはまさに「緊急帝王切開」だったのだな……と回顧された。
何せこのたびは手術台にも自分で乗った。ふかふかしていた。麻酔の入れ方が前回と違うと事前説明を受けてはいたけれど、麻酔を入れるのに体感30分くらいかかった気がする。担当医が到着が遅れたのも併せて、ちょっと焦れったいくらいで、「緊急」がやや恋しくなった。
相変わらずのシバリング体質で胸から上が震えていたが、麻酔科医に前回もシバリングを起こしたことを伝え、体を補液で温めてもらったところ震えがおさまり、少しばかり快適に術中を凌ぐことができた。前回は術後にシバリングを起こし、しかも「寒い!」ではなく「暑い!」と呻きながら震えていたため看護師・助産師一同をわりとガチな混乱に陥れ(シバリングは普通「寒い」と訴えるらしい)、何と術後の麻酔を抜き、汗をかき暑がりながらも毛布をかぶる(→全身の体温を均一にする)という奇態を晒してしまったのだが、その経験が活きた形となった。
子宮を切開するのにやや時間がかかったように思われ、もぞもぞと変な心地がしていたけれど、産声が聴こえた瞬間妊娠以来悩んでいたことや抱えていた不安が弾け飛び、ただただ「元気でよかった」と涙が溢れ、はらはらと零れた。やはり、産声が聴こえると、どっと安心した。母体として、出産における最低限のラインは越えられたような感覚。解放感は大きかった。
赤子というものの、産まれたてはなんか、むしろ白い。特におでこが。お腹を縫われながら子の出生体重を聞いた。2976g。聞いていた推定体重より500gくらいデカ……。胎盤も500gくらいあったそうで、道理で体が重たかったわけだ、と思った。週数平均上スレスレである。
1子は1856gだった。担当の助産師さんが1子と同じ方だったのだが、1子時の胎盤はおよそ半分サイズだったという。1子には、私の油断のあまり、胎内から負担をかけてしまったように思う。同時に、今しっかり育っている1子に、改めて深い感謝を覚える。個人産院の定期妊婦健診で血圧上150〜160を叩き出してしまったにも拘らず、母子ともに無事だったのは、本当に、本当に「運が良かった」のだろう。
緊急帝王切開のときも、取り出されてから腹部を縫合するのに結構時間がかかっていた覚えがあるので、その辺の心構えがあったのは、まあ良かった。帝王切開は、胎児が取り出されてからが、じゃっかん長い。
今回の予定帝王切開、麻酔の打ち方の問題なのか、術後当日の痛みが本当に軽かった。これなら自然分娩vs帝王切開の辛さバトル完敗だと思うくらい軽かった(ただ翌日にカテーテル抜いて自力で動かなきゃいけなくなってからのしんどさは記憶どおり)
前回はシバリングに恐れ慄いて麻酔を抜いてもらったとはいえ、麻酔を抜く前からやたらと痛かった記憶がある。「寒くて震えるならまだしも、暑くて震えるのは得体が知れなくて怖い!死ぬほどお腹痛いけど、痛いのは死なない!あとお前が麻酔を抜くと決めた以上は弱音を吐くな、自分の判断を後悔するな」と頭の中で唱えながら後陣痛か傷の疼痛かに2日中耐えていた覚えがある。そもそも術後すぐの感想が「日常生活を送れる気がまるで(ごっそり)しない」だったのに比べ、今回は人としてのかたち(?)は保てている感じがした。実際、産後ハイも相俟って母に電話したり、諸方面にLINE打ったりしてたので……。
今回は血圧にもあまり変化なく、むしろ順調に上110を切っている。前回は退院予定日まで中々下がらず、助産師さんが測り直し・電子機器の使用禁止・室内の照度を落とすなど様々なアプローチで下げようと努めてくれていた……のだが、産科サイドから「血圧が高いので要安静」、小児科サイドから「少しでもGCUに足を運んで、できる世話は覚えてほしい」という二律背反を突き付けられ、体も痛くて精神的にもかなり参っていた。
今回はさすがに経産婦なのもあり、母子同室も強くは薦められず、かつ❝予定❞帝王切開のおかげかカテーテルも早めに抜けた。どちらかというと、体の回復を優先できているように思う。

日記

■蝉野芥子

月影の鎖とpkmnが大好き。好きなキャラを軸に乙女ゲーム的関係性を思索するのが好き。家族(二親等内)も大事。lit.link